受け継がれる孔子の思想
論語
孔子(紀元前552〜479年)の思想が、死後2500年も中国人のなかに、あるいはもっとひろく東アジアの人々のなかに生きつづけてきました。 [論語]の大半は、孔子が開いた学園で門弟たちと交わした問答の記録です。
ここでは、さまざまな階層の人達が共同生活をしながら、徳のある行為とか、正確で優雅な言葉、官吏(かんり)として身につけるべき能力などを学びあいました。
孔子は、中国史上初めて、人と人とのあり方を自覚し、その理想実現のために行動した人です。
その思想の中心に、仁があります。
仁とは何かと弟子たちに質問されて、孔子が答える場面が『論語』のなかに何度も出てきますが、仁はた大変多くの意味をもっています。
仁の意味を整理すると、まず父母に孝行、兄弟むつまじくと、血縁を大事にすることです。当時は、血縁関係が政治の基礎になっていたので、家で父につかえることと、国で君につかえることは同じことでした。
仁はのちに、修身、斉家、治国、平天下という言葉に整理されていきます。
また、そのような親への孝行を神や天から命じられた義務としてではなく、日常的な親子の自然な愛情と考えました。
これは古代の社会にあってはたいへんな転換でした。
さらにその親族への愛情を、友人から広く人民にひろげる博愛の思想を、孔子は仁のなかにこめています。
最後に、個人の人格の自立性を仁のなかできわだって重視しています。
春秋時代から戦国時代への転換期に生きた孔子は、日ごとに激しくなる領地の拡大戦争や新興の奴隷主による民衆の搾取、抑圧に反対し、それを仁の思想に結実させました。
その後現代にいたるまで後世の人々は、この仁の思想のある面を強調し、ある面を非難しました。
しかし、このように多様な要素をもった思想を、完全変革したりすことは難しく、孔子の思想は長い間維持してきたといえます。
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