Chinese history 知っておきたい中国の歴史

夏王朝と殷王朝

夏(紀元前2205頃〜紀元前1766頃)は、約450年にわたって続いたといわれているが、あくまでも伝説上の王朝にすぎない。
現時点で確認できる最古の王朝は殷(紀元前1766頃〜紀元前1122頃)。
発掘調査の結果、殷は農耕社会だったことが判明しており、その勢力圏は、黄河に沿って西安から山東半島にかけてと、南は長江沿岸にまで及んでいたことがわかっている。
この一帯は中国文明の中心地で、中原(ちゅげん)と呼ばれる。

 

殷では、一人の王が社会を支配するとともに、祭祀と軍事をも司る神権政治が行なわれた。
王位は世襲制で、当初は兄弟相続、のちに父子相続となった。
君主の権威の多くは、民の崇拝を受け、まつりごとに携わった祖先から受け継いだものだった。
また、社会がしだいに高度になるにつれて、君主は官僚に職務を委任するようになった。

 

獣骨に文字を刻んで占いを行なう習慣があったことから、すでに文字があったこともわかっている。
この最古の文字は、甲骨文字と呼ばれてしいる。

 

殷代には、ゾウを使って大きな建物を造ったと伝えられており、当時の人々が進んだ建築技術をもっていたことがうかがえる。
また、この時代に盛んに鋳造された青銅器は、当時としては世界最高の水準にあった。
とくに動物をかたどった神秘的なデザインの器が名高い。
殷王朝の最後の都となった大邑商(だいゆうしょう)は現在の河南省北部の都市、安陽にあった。
都の名であり殷の国名でもあった「商」という文字にはビジネスという意味があるので、この王朝のもとでは産業と交易が盛んだったのだろう。