Chinese history 知っておきたい中国の歴史

元時代

南宋をくだしたモンゴルは、その版図がアジアから東欧に及ぶ超大国となり、大都(現在の北京)を都と定め、国号を中国風に元(1279〜1368)と改めた。

 

元の時代には大運河や道路の修繕が行なわれたため、にわかに外国との交易が盛んになった。
ヨーロッパとの交流も増え、ヴェネツィアの冒険家、マルコポーロが大都を訪れ、のちに有名な『東方見聞録』を書いた。
とはいえ、元の中国統治はモンゴル人が中心で、主な官職はモンゴル人が独占し、以下、準支配者である色目人(西域の諸部族)、漢人(金王朝の支配下にあった住民)、南人(南宋の支配下にあった住民)と続く身分制度が確立された。

 

モンゴル人は中国を足場にして、ベトナムや日本など、周辺諸国に侵攻したが、激しい搾取に耐えかねた農民が各地で蜂起し、これがもとで元は崩壊する。
白蓮教などの宗教結社が農民を指導して紅巾の乱を起こし、その首領だった朱元璋が群雄をくだし、明を建国する。

 

モンゴルの侵入により、中国の美術は大打撃を受けたが、そうした混乱があったにもかかわらす、絵画の技巧は一段と洗練され、山水画などの大家が輩出した。
また元代には、中国の小説や故事を劇化した元曲が盛んに演じられた。